退職証明書とは?用途・発行依頼の方法・離職票との違い【記載事項】

退職証明書とは、退職した会社が発行する任意書類です。労働基準法22条により、退職者が請求すれば会社は遅滞なく交付する義務を負います。用途は「転職先への提出」「国民健康保険・年金の切替」「離職票が届くまでの代用」の3つで、記載は請求した5項目に限られます。

この記事でわかること

  • 退職証明書とは何か(会社が発行する任意書類)と、離職票との根本的な違い
  • 退職証明書が必要になる3つの用途(転職先提出・国保/年金の切替・失業保険の代用)
  • 発行依頼の方法と、会社側の交付義務(労働基準法22条)・請求できる期限
  • 退職証明書の記載事項5項目と、書いてはいけない事項のルール

公的情報源: 労働基準法 第22条(e-Gov法令検索)/厚生労働省・ハローワーク(雇用保険)/日本年金機構

結論を先に整理します

退職証明書は「退職した事実」を会社が証明する書類で、請求しなければ発行されない任意書類です。似た名前の離職票とは、発行元も使い道もはっきり違います。

まず押さえるべきは次の3点です。用途・依頼方法・離職票との違いを、この記事で順番に解説します。

この記事の要点
  • 退職証明書は会社発行の任意書類。請求すれば労基法22条で会社に交付義務が生じる
  • 用途は転職先への提出・国保/年金の切替・離職票の代用の3場面
  • 離職票はハローワーク発行で失業給付に必須の公的書類。役割がまったく別
  • 記載は請求した項目だけ。労働者が請求しない事項を会社が書くことは禁止(22条3項)

目次

退職証明書とは?発行元と目的を先に整理

退職証明書とは、労働者が退職した事実を、退職した会社が証明する書類です。国が定めた決まった様式はなく、会社ごとに書式は異なります。

大切なのは「任意書類」だという点です。会社が自動で発行してくれるものではありません。退職者が請求してはじめて作成されます。

その請求を裏づけるのが労働基準法22条です。労働基準法 第22条は、労働者が退職時に証明書を請求した場合、使用者は「遅滞なく」交付しなければならないと定めています。つまり会社側に交付義務があります。

退職証明書は在職中にも請求できます(解雇予告を受けた日から退職までの間など)。ただし一般に「退職証明書」と呼ぶ場合は、退職後に前職を証明する用途で使うものを指します。

「離職票と同じでは?」と混同されがちですが、両者は別物です。違いは後半のセクションで表にまとめます。ここでは退職証明書=会社が出す任意書類とだけ覚えておけば十分です。

退職証明書の3つの用途(転職先提出・国保/年金・失業保険の代用)

退職証明書が必要になる場面は、大きく3つに分かれます。順に見ていきましょう。

退職証明書の主な用途

用途使う場面何を証明するか
転職先への提出入社手続き・内定後前職の在籍・退職日・職務内容
国保/年金の切替退職後の役所手続き退職日(資格喪失日の根拠)
失業保険の代用離職票が届くまでの間離職した事実(仮手続き用)

用途1:転職先への提出(前職確認・在籍証明)

転職先の企業から、入社手続きの一環で退職証明書の提出を求められることがあります。目的は、前職の在籍期間・退職日・職務内容などの前職確認です。

すべての会社が求めるわけではありません。ただ、経歴の裏づけを重視する企業では提出を依頼されるケースがあります。求められたら、前職に発行を依頼する流れになります。

用途2:国民健康保険・国民年金の切替(役所手続き)

退職後すぐに転職しない場合、健康保険と年金を自分で切り替える必要があります。会社員の健康保険・厚生年金から、国民健康保険・国民年金へ移る手続きです。

この手続きでは「退職日」を証明する書類が必要です。通常は健康保険の資格喪失証明書や離職票を使いますが、退職証明書が退職日の証明として使える自治体もあります

国民年金への切替は、原則として退職日の翌日から14日以内が目安です(日本年金機構)。書類が間に合わないときの選択肢として、退職証明書を用意しておくと安心です。手続きの全体像は退職後にやる手続き完全ガイドで期限ごとに整理しています。

用途3:失業保険(失業給付)の代用書類

失業給付(雇用保険の基本手当)の手続きには、本来は離職票が必要です。しかし離職票は、退職してから手元に届くまで2週間前後かかることがあります

離職票が届く前でも、退職証明書があればハローワークで求職の仮手続きを進められる場合があります。給付開始を急ぎたいときの「つなぎ」として機能します。

ただし最終的な受給手続きには離職票が必須です。退職証明書はあくまで代用・補助という位置づけになります。

退職証明書の発行依頼の方法と会社の義務(労基法22条)

退職証明書は請求しないと発行されません。ここでは依頼の流れと、会社側の義務・期限を整理します。

発行を依頼する手順

依頼先は、退職した会社の人事部または総務部です。基本の流れは3ステップです。

  1. 会社(人事・総務)に退職証明書の発行を請求する
  2. 必要な記載項目(使用期間・退職事由など)を具体的に伝える
  3. 会社が作成し、遅滞なく交付を受ける

依頼の際は、何を証明したいのかを先に伝えるとスムーズです。たとえば「転職先提出用に、在籍期間と職務内容の証明が欲しい」と用途を添えると、必要な項目だけを記載してもらえます。

メールや書面で依頼する場合は、氏名・在籍していた部署・退職日・使いたい用途・返送先を簡潔に書けば十分です。難しい様式は必要ありません。

会社には交付義務がある(労働基準法22条)

会社は「忙しいから」といった理由で発行を断ることはできません。前述のとおり、労働基準法22条により、労働者が請求すれば会社は遅滞なく交付する義務を負います。

もし会社が正当な理由なく発行を拒む場合は、労働基準監督署に相談するという選択肢があります。まずは書面で請求し、記録を残しておくと交渉がスムーズです。

請求できる期限は退職後2年

退職証明書はいつでも請求できるわけではありません。労働基準法115条により、労働者のこの請求権は退職の日から2年で時効にかかると解されています。

退職から時間が空くと発行を受けにくくなるため、必要になりそうなら早めに請求しておくのが安全です。転職や役所手続きの予定がある人は、退職時にまとめて依頼しておくとよいでしょう。

退職証明書の記載事項と離職票との違い

最後に、退職証明書に「何が書かれるか」と、離職票との違いを整理します。ここが読者のいちばんの疑問点です。

記載事項は5項目(請求した項目だけ)

退職証明書に記載できる事項は、労働基準法22条で次の5つに定められています。

退職証明書の記載事項(労基法22条)

記載事項内容
使用期間入社日〜退職日(在籍期間)
業務の種類担当していた職務・業務内容
その事業における地位役職・ポジション
賃金給与額(在職中の賃金)
退職の事由自己都合・会社都合など(解雇の場合はその理由を含む)

重要なルールが1つあります。労働者が請求しない事項を、会社が勝手に記載することはできません(労働基準法22条3項)。

たとえば退職理由を書いてほしくない場合、その項目を請求しなければ記載されません。解雇された事実を転職先に知られたくない、といったケースで読者を守る仕組みです。請求時に「必要な項目だけ」を伝えるのが、この条文を活かすコツになります。

退職証明書と離職票の違い

名前が似ているため混同されますが、退職証明書と離職票は発行元も用途も別物です。

決定的な違いは3つあります。

  1. 発行元:退職証明書は会社、離職票はハローワーク(会社経由で交付)
  2. 用途:退職証明書は転職先提出・役所手続き、離職票は失業給付の受給手続き
  3. 様式:退職証明書は自由様式、離職票は公的な決まった様式(離職票-1/-2)

離職票には離職理由や退職前の賃金が記載され、失業給付の給付日数や金額に直結します。一方の退職証明書は、請求した項目だけを載せる証明書で、給付額には関係しません。

失業給付を受けるなら離職票が必須、転職先や役所へ退職の事実を示すなら退職証明書、という使い分けになります。両方が必要になる人も少なくありません。離職票を含む退職後の手続き全体は退職後にやる手続き完全ガイドを参照してください。

よくある質問

退職証明書について、読者から多い質問を整理します。

Q1:退職証明書は誰でももらえますか?

請求すれば、原則もらえます。労働基準法22条により、労働者が請求した場合、会社は遅滞なく交付する義務を負うためです。会社が自動で発行するものではないので、自分から請求する必要があります。

Q2:退職証明書と離職票はどう違いますか?

発行元と用途が違います。退職証明書は会社が発行する任意書類で、転職先への提出や役所手続きに使います。離職票はハローワークが(会社経由で)発行する公的書類で、失業給付の受給手続きに必須です。失業給付を受けるなら離職票、退職の事実を示すなら退職証明書と覚えてください。

Q3:退職証明書はいつまで請求できますか?

退職の日から2年が目安です。労働基準法115条により、この請求権は2年で時効にかかると解されています。必要になりそうなら、退職時に早めに請求しておくと安心です。

Q4:退職理由を書かずに発行してもらえますか?

できます。労働基準法22条3項により、労働者が請求しない事項を会社が記載することは禁止されています。退職理由の記載を望まない場合は、その項目を請求しなければ書かれません。請求時に必要な項目だけを伝えてください。

Q5:発行にお金はかかりますか?

法律上、発行手数料の定めはありません。多くの会社は無償で発行します。郵送を希望する場合の送料など、実費を求められることはあり得ます。依頼時に会社へ確認しておくとよいでしょう。

まとめ:退職証明書は「請求して使い分ける」書類

退職証明書について、要点を最後に整理します。

この記事のまとめ
  • 退職証明書とは会社が発行する任意書類。労基法22条で、請求すれば会社に交付義務が生じる
  • 用途は転職先への提出・国保/年金の切替・離職票の代用の3場面
  • 発行は人事・総務へ請求。請求できるのは退職の日から2年以内(労基法115条)
  • 記載は請求した5項目だけ。請求しない事項を会社が書くことは禁止(22条3項)
  • 離職票はハローワーク発行で失業給付に必須の別書類。役割で使い分ける

退職前後は、書類の種類が多くて混乱しがちです。退職証明書は「請求してはじめて出る任意書類」という性質さえ押さえておけば、必要な場面で慌てずに準備できます。

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免責事項

※本記事は労働基準法など公開情報をもとにした一般的な整理です。制度の運用・必要書類は会社や自治体・ハローワークによって異なる場合があります。個別の手続き・法的判断は、勤務先の人事担当・各自治体の窓口・労働基準監督署など公的窓口の最新情報をご確認のうえご判断ください。


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この記事を書いた人

Nakataです。文系私大を出て新卒で営業になり、初任給は手取り18万円、残業は月60時間という毎日でした。社会人3年目の冬、終電の満員電車で「あと35年これを続けるのか」と考えた日に、キャリアを変える決心をしました。プログラミングは「Hello World」も書けないところから、スクールで平日の深夜と土日をすべて学習に充て、3ヶ月で未経験のWebエンジニアに転職。入社1年で年収は150万円上がり、週4リモートの働き方になりました。このサイトでは、文系・スキルなし・貯金少なめの状態から始めたIT転職を、失敗も含めてそのまま書いています。スクールの選び方、3ヶ月の学習ロードマップ、ポートフォリオの作り方、未経験面接での答え方まで、当時の自分が欲しかった情報をまとめました。

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