「SESと自社開発、どっちがいいの?」未経験者が最初に悩む壁

「SESと自社開発、どっちがいいの?」未経験者が最初に悩む壁
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「SESと自社開発、どっちがいいの?」未経験者が最初に悩む壁

「IT転職したいけど、SESって結局どういう仕組みなの?」「自社開発エンジニアになりたいけど、未経験じゃ無理なの?」——そんな疑問を抱えながら、転職サイトを眺めているあなたの気持ちはよくわかる。

IT業界に転職しようと調べ始めると、必ずといっていいほど「SES」と「自社開発」という言葉が出てくる。でも、この2つの違いをちゃんと説明できる人は意外と少ない。IT業界の人間でさえ、感覚で使っていることが多い。

この記事では、文系・未経験からIT転職を目指す人向けに、SESと自社開発の違いを徹底的に解説する。「どちらが自分に向いているか」まで含めて具体的に示すので、最後まで読めば今日から行動できる状態になれる。

📌 この記事でわかること
・SES・自社開発・受託開発の違いと仕組み
・未経験者がそれぞれで働くリアルなメリット・デメリット
・文系未経験が最初に選ぶべき雇用形態はどちらか
・転職活動で失敗しないための具体的なステップ

まず整理|SES・自社開発・受託開発の違いを3分で理解する

IT業界の雇用形態は大きく3種類に分けられる。まずはこの3つを正確に理解することが、転職活動で失敗しないための第一歩だ。

SES(システムエンジニアリングサービス)とは

SESとは、エンジニアを「人材」として取引先企業に常駐させるビジネスモデルだ。自分の会社に雇用されているが、実際に働く場所は別の会社のオフィスになる。

たとえば、あなたがA社(SES企業)に入社したとする。するとA社はあなたをB社(大手メーカーやシステム会社など)に「派遣」して、そこでシステム開発や運用保守の仕事をさせる。A社はB社から「人月単価」と呼ばれる料金をもらい、あなたには給料を払う——これがSESの基本的な仕組みだ。

💡 SESのポイント:自社雇用だが他社に常駐して働く。プロジェクトが変わるたびに現場も変わる。

自社開発とは

自社開発とは、その会社自身がサービスや製品を開発・運営しているケースを指す。たとえばメルカリやサイバーエージェント、freeeといった企業が典型だ。自社のプロダクトを自分たちで作り、ユーザーに届ける。エンジニアは「会社の中心戦力」として扱われる。

給料・待遇・成長環境ともにIT業界の中では最上位に位置することが多く、多くの未経験者が「最終的に目指したい」と考えるのがこの自社開発エンジニアだ。

受託開発とは

受託開発は、クライアントから「システムを作ってほしい」と依頼を受け、それを開発して納品するビジネスモデルだ。SIer(システムインテグレーター)や中小のWeb制作会社がこれにあたる。SESと混同されやすいが、受託はあくまで「成果物を納品する」のに対し、SESは「人を提供する」点が異なる。

✅ まとめると…
・SES = 人材を他社に提供するビジネスモデル
・自社開発 = 自社プロダクトを自分たちで作る
・受託開発 = クライアントの依頼を受けて成果物を納品する

SESのリアル|未経験者にとってのメリット・デメリット

IT転職を調べていると、「SESはやめとけ」という声をよく見かける。しかし、それは半分正解で半分間違いだ。SESには未経験者にとって明確なメリットもある。正確な情報をもとに判断してほしい。

SESのメリット

① 未経験でも採用されやすい
SES企業は人材を「商品」として扱うビジネスモデルのため、常に人員を確保したがっている。そのため、未経験者でも積極採用しているSES企業は多い。IT転職の入口として現実的な選択肢だ。

② さまざまな現場を経験できる
プロジェクトが変わるたびに異なる企業・技術・業種を経験できる。金融・医療・流通など幅広い業界システムに触れることができ、「業界知識の広さ」という独自のキャリアが作れる。

③ 大企業の現場に入れることもある
大手メーカーや官公庁のシステムに、SES経由で携わることができる場合がある。自社開発企業に未経験で入るよりも、大規模なシステムに関わる機会が得やすいというケースも存在する。

SESのデメリット

① 配属先が選べないことが多い
SES企業に入社しても、どの現場に入れるかは会社が決める。「Javaをやりたい」と言っていたのに、インフラ運用の現場に入れられた——という話は珍しくない。希望と現実のミスマッチが起きやすい点は大きなリスクだ。

② スキルアップの方向性が定まりにくい
現場が変わるたびに使う技術も変わる。結果として「何でも少しずつできるが、何も極められていない」状態になりやすい。市場価値を高めるには、自分から意識的にスキルを磨く必要がある。

③ 給与が上がりにくい構造
SES企業の利益は「人月単価」から給与を引いた差額だ。あなたの単価が上がっても、会社が多く取る仕組みになっていると給与に反映されにくい。転職時の年収交渉力が弱い段階だと、搾取されるリスクもある。

④ 偽装請負の問題が存在する
SESは法律上「準委任契約」であり、指揮命令権は自社にある。しかし実態として、常駐先企業の社員から直接指示を受ける「偽装請負」状態になっているケースが業界内には存在する。入社前に契約形態をしっかり確認することが重要だ。

自社開発のリアル|未経験者にとってのメリット・デメリット

「自社開発に行けば勝ち組」という言説はよく見るが、自社開発にも注意すべき点はある。夢だけで飛び込むと痛い目を見る。

自社開発のメリット

① 使う技術が統一されており、深く学べる
自社のプロダクトに特化した技術スタックを使い続けるため、特定の技術を深く極めることができる。「このサービスのバックエンドは自分が作った」という達成感も得やすい。

② 給与・待遇が高い傾向にある
エンジニアを「コスト」ではなく「価値創造の中心」と捉えている企業が多い。結果として、SES企業や受託企業と比較して年収水準が高くなりやすい。

③ 自分の仕事がサービスに直接反映される
自分が実装した機能が、実際のユーザーに使われる。この体験はエンジニアとしてのモチベーション維持に直結する。「社会に何かを作っている」という実感が持ちやすい環境だ。

自社開発のデメリット

① 未経験採用のハードルが高い
ポートフォリオや技術的なアウトプットを求められることが多い。スキルゼロの状態では書類選考すら通過しないケースが多い。準備なしに挑戦しても玉砕するだけだ。

② 会社が傾くとスキルも陳腐化するリスクがある
特定のプロダクトに特化するということは、そのサービスが終了したり会社が縮小したりした場合に、汎用性の低いスキルだけが残るリスクもある。

③ スタートアップだと労働環境が過酷なこともある
「自社開発=ホワイト」という思い込みは危険だ。特に資金調達前後のスタートアップでは、残業・裁量労働・給与未払いリスクなど、劣悪な環境の企業も混在している。

📌 結論:自社開発は「目標」として正しいが、未経験の最初の一手としてはハードルが高い。SESでキャリアをスタートさせ、自社開発へ転職するキャリアパスが現実的だ。

未経験者がSESと自社開発を比較する際に見るべき5つのポイント

「とにかく自社開発に行きたい」という気持ちはわかる。しかし、転職活動では感情ではなく判断軸をもとに動くことが重要だ。以下の5つの観点で比較してほしい。

① 現時点のスキルレベル

スキルがゼロの状態なら、まずSESの未経験可求人からスタートするのが現実的だ。プログラミングスクールで3〜6ヶ月学んでポートフォリオを作れた状態なら、中小〜ベンチャーの自社開発企業への応募が視野に入る。

② 希望する技術領域

「Webアプリを作りたい」「インフラ・クラウドに強くなりたい」など、やりたいことが明確なら、その技術を扱っている現場に入れるかどうかを確認する。SESは配属先が不透明な場合があるため、面接で「どんな案件に入れるか」を必ず確認すること。

③ 給与の期待値

短期的な収入よりも長期的な成長を優先するなら、多少給与が低くても技術力が身につく環境を選ぶべきだ。逆に、今すぐ収入を上げたいなら、SESで実務経験を積んで早期に転職するルートが現実的だ。

④ 転職までの準備期間

「今すぐ転職したい」ならSES未経験可が最速の入口だ。「半年〜1年かけて準備できる」なら、プログラミングスクールで学びながら自社開発を狙うルートが取れる。時間と現在地を正直に把握することが重要だ。

⑤ キャリアの最終目標

「フリーランスになりたい」「海外で働きたい」「マネジメントに行きたい」——最終的なゴールによって、経由すべきルートが変わる。SESでの実務経験はフリーランス転身に有利なこともある。自分のゴールを先に決めてから逆算することが大切だ。

未経験からIT転職するなら「SES→自社開発」の2段階戦略が最も現実的

結論を明確に言う。文系・未経験でスキルゼロの状態から「最初から自社開発エンジニア」を目指すのは無謀だ。ほとんどの人は書類選考で弾かれて終わる。

現実的で再現性の高いキャリアパスは次のとおりだ。

✅ 未経験からIT転職の王道ルート

STEP 1:プログラミングスクールで基礎を学ぶ(3〜6ヶ月)

STEP 2:SES企業に未経験入社・実務経験を積む(1〜2年)

STEP 3:実務経験を武器に自社開発企業へ転職する

このルートの最大のメリットは「確実に実行できる」点だ。プログラミングスクールで学んだ知識がなくても、SES企業なら未経験可の求人は多い。現場に入ることで初めて「実務経験者」というラベルが手に入り、その後の転職市場での価値が大きく上がる。

SESで2年ほど実務経験を積んだエンジニアは、転職市場で明らかに評価が変わる。「未経験」から「経験者」になるだけで、応募できる求人の質・数・年収帯が別次元になる。

「良いSES企業」と「悪いSES企業」の見分け方

SESを選ぶとしても、企業選びを間違えると時間を無駄にするだけでなく、精神的にも消耗する。以下のポイントで企業の質を見分けてほしい。

良いSES企業の特徴

・研修制度が充実しており、入社後すぐに現場に放り込まれない
・配属先の希望を聞いてくれる(100%叶うわけではないが、意向確認がある)
・エンジニアの単価が上がれば給与も上がる仕組みが明文化されている
・社員のキャリアプランについて面談が定期的に行われている
・口コミサイト(OpenWork等)での評価が一定以上ある

避けるべきSES企業の特徴

・「即日入社可」「学歴・経験不問」を全面に押し出しすぎている
・配属先について面接で具体的な回答をしてくれない
・給与テーブルが不透明で、どうすれば上がるかわからない
・社員の平均勤続年数が極端に短い(口コミや求人票で確認できる)
・面接で「まずは現場に入ってみないとわからない」としか言わない

📌 SES企業を選ぶ際は、IT専門の転職エージェントを使うことを強く勧める。エージェントは企業の内情を把握しており、「この会社は未経験者の育成に力を入れている」「この会社の案件はこういう傾向がある」といった情報を持っている。

未経験からIT転職を成功させるための具体的な3ステップ

STEP 1:プログラミングの基礎を身につける

独学でも始められるが、効率を求めるならプログラミングスクールを活用するのが最速だ。HTML/CSS/JavaScriptの基礎、またはPythonやRubyなどのバックエンド言語を選んで3ヶ月集中して学ぶ。この段階でポートフォリオ(自分で作ったアプリやWebサイト)が1〜2個あると、次のステップで大きく有利になる。

スクール選びに迷っているなら、就職支援まで含めたサービスを選ぶことを強く勧める。学ぶだけで終わるスクールと、転職まで伴走してくれるスクールでは、成果に大きな差が出る。

✅ スクール選びのポイント:
・就職支援・転職保証があるか
・受講生の転職実績が公開されているか
・現役エンジニアから直接指導が受けられるか

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STEP 2:IT専門の転職エージェントに登録する

転職活動は一人でやらない方がいい。特に未経験の場合、IT業界の相場観や企業の内情を知らずに動くと、ブラック企業を引き当てるリスクが高まる。IT専門のエージェントは、未経験者向けの求人情報を大量に持っており、書類作成・面接対策まで無料でサポートしてくれる。

エージェントは複数登録しておくのが基本だ。1社だけでは求人の偏りが出るため、2〜3社に並行して登録して、紹介される求人を比較しながら進めること。

STEP 3:SESで実務経験を積み、自社開発へ転職する

SES企業に入社したら、最初の1〜2年を「学習期間」と割り切って技術力の向上に集中する。業務外でも継続的に学習し、GitHubへのアウトプット、個人開発の継続、技術ブログの執筆などを通じて「採用担当者が見える実績」を積み上げていく。

2年後には「実務経験2年・ポートフォリオあり・GitHub活動中」というプロフィールが完成する。このプロフィールがあれば、中小〜中堅の自社開発企業への転職は十分狙えるレベルだ。

よくある質問|SESと自社開発に関するQ&A

Q. SESはやめとけと言われているけど本当?

一概にそうとは言えない。確かに悪質なSES企業は存在するが、優良なSES企業も多い。重要なのは「どの企業のSEに入るか」だ。研修制度があり、キャリア支援が充実しているSES企業を選べば、未経験者の踏み台としては十分機能する。

Q. 未経験から自社開発に直接入ることは不可能?

不可能ではないが、かなり難しい。一部のスタートアップやベンチャー企業では未経験者を採用することもある。ただし、そういった企業は労働環境のリスクも高いことが多い。確率論で言えば、SESを経由するルートの方が圧倒的に成功率が高い。

Q. 文系出身でも本当にエンジニアになれる?

なれる。プログラミングに文系・理系は関係ない。論理的思考力とコツコツ継続する力さえあれば、文系出身でも十分に活躍できる。実際、IT業界には文系出身のエンジニアが多数存在している。

Q. SESで働きながら自社開発を目指すのに何年かかる?

目安は1〜3年だ。現場での技術習得スピード、業務外学習の量、ポートフォリオの質によって大きく変わる。意識的に行動した人は1年半〜2年で転職成功している例も多い。

まとめ|SES・自社開発の違いを理解した上で「最初の一歩」を踏み出せ

SESと自社開発の違いを改めて整理する。SESは人材提供型のビジネスモデルで未経験でも入りやすい反面、配属先や技術の方向性が不透明になりやすい。自社開発は待遇・成長環境ともに魅力的だが、未経験者には高いハードルが存在する。

文系・スキルゼロの状態から現実的にIT転職を成功させるなら、「プログラミングスクールで基礎を身につけ→SESで実務経験を積み→自社開発へ転職する」という2段階戦略が最も再現性が高い。